知財経営戦略



課題  1985年、クアルコムは携帯電話端末と通信設備のメーカーとして有名であった。
施策  1990年代に、第三世代携帯通信(3G)の携帯電話通信方式(符号分割多元接続方式)、及び音声圧縮技術(コーデック)の実用化に成功した後、自社の携帯電話端末部門と通信設備部門を売却し、3G通信、及び音声圧縮装置(半導体チップ)の開発だけに特化し、世界市場を独占した。この装置を利用するためには、特許ライセンスを支払わなければならいというビジネスモデルのビジネスに切り替えた。

課題  1970年代、インテルはデータの一時的保存に使われるDRAMと呼ばれるメモリーの大手製造メーカーだった。しかし、日本の大手電機メーカーのDRAM市場参入により、インテルは1980年代に経営危機に陥った。
施策  そこで、DRAMからコンピュータの頭脳であるCPUに経営をシフトさせるだけでなく、競合他社の参入を防ぐために、CPUを搭載するためのマザーボードと呼ばれるPCIバスの特許を公開し、新興国に無償で製造を許可した。これにより、安いPCIバスは、あらゆるコンピュータに取り入れられ、コンピュータの低価格に貢献する事となった。一方、このPCIバスを利用するための通信技術はインテルの特許ライセンスを必要とするため、PCIバスに搭載するCPUなどは、多額のライセンス料をインテルに支払う事となった。